いつかの大地
「 」
雲一つない真っ黒な空。
絵に描いたように綺麗に光輝く満月。
――荒れ果てた大地。
ビュォォォォォ…
風のようなその音で男は目が冷めた。
彼は少し平らな岩の上で眠っていたようだ。
その場でスッと立ち上がり空を見上げると目を細める。
男は自分の遥か上空を飛ぶものを見た。
「なんだ、あんたか…」
そんな声を荒れた広い夜の大地に小さく溢す。
それは体の至るところにトゲトゲしい鎧のようなもので覆われた、真っ黒な竜だった。
竜は自分に気付いた男のもとへゆっくりと降下した。
風が吹き荒れ、砂が舞う。
それがうっとうしいのか男は顔をしかめた。
「久しいな、ライトよ」