【コメコン】オレんちの兄さん1
きっと今回だって、ろくなことじゃない。
そんな風に軽く考えていると、終業のチャイムが鳴り響いた。
「ふぁあ〜〜、よく寝た」
オレが教科書を閉じるのとほぼ同時に、いかにもやる気のなさそうな声が聞こえた。
「お前、またボーっとしてただろ。
良いよな、頭良い奴はさっ」
横目でオレを見て嫌みったらしくそう言い放ったのは、友人の太一。
50分間ずっと寝ていたらしく、まだ眠たそうな顔をしている。
「そーゆーお前は愚痴ばっか言ってねぇで真面目に勉強しろよ。
このままじゃ卒業できねーぞ?」
「うっせーよ!バカにすんな!」
太一はオレと比べて……
いや、比べなくてもかなりバカだ。
テストの成績は常に後ろから数えた方が早い。
オレの言葉がカンに障ったのか、太一は前の時間に返ってきたテストをオレに向かって投げてきた。
どうせまた、酷い点数だったんだろう。
クシャクシャに丸められたそれをキャッチすると、素早いモーションで投げ返す。
猛スピードで飛んでいったそれは、太一の額に直撃した。
「いってぇ!」
「フンッ」
大袈裟に声を上げてうっすら赤くなった額をさする太一を尻目に、オレは兄さんに折り返し電話をしようと立ち上がった。
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