【完】青春PLAYBALL!!
審判がホームベースに立つ。


「今日は自分のできるところまで頑張ってみよう」


黒須先生が相手チームに萎縮している俺たちを励ます。

それを聞いて緊張していたみんなの顔が少しだけゆるむ。

うちの高校は弱小だ。

柚のように高い目標があるわけでもない。

野球がやりたいという純粋な気持ちで入った人がほとんどだろう。

きっとこの二週間、本当に緊張していたんだと思う。

その言葉を支えにみんなは軽快な足取りでホームへ向かう。


黒須先生と柚が何かを話している。

柚は黒須の目を見つめ、静かに頷いている。


俺はそれを後ろ目に気にしながら整列した。


整列すると俺の向かいには、ぐんと背の高い三先がいた。

三先は俺と目が合うと、口角を少しあげて微笑んだ。


柚の言葉を聞いてちょっといい気になってた俺も、ニッと笑ってみせた。



それから10分もしないうちに、俺は三先に対して笑った自分がアホらしく思えるほど、三先のプレーに圧倒されることになる。


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