Tears〜硝子細工の天使〜
「…だ、だいじょ…ぶ…だってば…」
かほはかろうじて言葉を発した。
「どこが大丈夫なの?!」
「…ほんとに…何で…もない…から…」
「いいから、いますぐ行くよ。この前のところでいい?」
「だって…いっぱい泣いて…お化粧、全部取れちゃって……恥ずか…」
かほが言い終わらないうちに
「バカいってんじゃねぇ!
そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!!
すぐ行くからね、30分で着くから」
よしきはそう言うと
一方的に電話は切られた。
しかたなく待ち合わせ場所に行くと
よしきが待っていた。
そして車から降りたかほをギュッと抱きしめ
「もう心配いらないよ」
耳元でそうつぶやいた…
よしきは気障なセリフやしぐさがとても似合う
独特の雰囲気を持っていた。
かほはよしきの胸に顔を埋めて泣いた。