ポケットの恋
常連客の権限を勝手に利用して、何か言われる前に、明日美のすぐ前の席に座った。
「久しぶり、古谷君」
慣れた手つきでミルにお湯を注ぎならが、明日美が笑った。
古谷も軽く会釈で返す。
「今日、秋田来てますか?」
少しだけ声をひそめて聞くと、明日美ははっとしたように眉をひそめた。
その様子に嫌な予感が走る。
「秋田、なんか?」
「でも秋田さんは言って欲しくないかもしれないし…」と渋る明日美に迷惑だと知りながら食い下がった。
普段に無い険しい表情をした古谷に、明日美は何かを察したらしい。
「秋田さん…お母さんが入院してて、そこから連絡来たらしいの。かなり危ないみたい」
瞬間、息を飲んだ。
「どこの病院ですか!」
「え…蓮池病院だけど…」
立ち上がろうとして、我に帰った。
今俺が行ってなんになる?
秋田の支えにでもなるつもりか。どの面下げて。
「そう…なんですか」
適当な声を出してゆっくりと腰を戻した。
明日美が不思議な顔をして古谷を見る。
「行かないの?」
この流れで、真実の所へ走って行くと思ったのだろう。
実際古谷もそうするつもりだった。
だが、幸日のことが足を止めた。
「久しぶり、古谷君」
慣れた手つきでミルにお湯を注ぎならが、明日美が笑った。
古谷も軽く会釈で返す。
「今日、秋田来てますか?」
少しだけ声をひそめて聞くと、明日美ははっとしたように眉をひそめた。
その様子に嫌な予感が走る。
「秋田、なんか?」
「でも秋田さんは言って欲しくないかもしれないし…」と渋る明日美に迷惑だと知りながら食い下がった。
普段に無い険しい表情をした古谷に、明日美は何かを察したらしい。
「秋田さん…お母さんが入院してて、そこから連絡来たらしいの。かなり危ないみたい」
瞬間、息を飲んだ。
「どこの病院ですか!」
「え…蓮池病院だけど…」
立ち上がろうとして、我に帰った。
今俺が行ってなんになる?
秋田の支えにでもなるつもりか。どの面下げて。
「そう…なんですか」
適当な声を出してゆっくりと腰を戻した。
明日美が不思議な顔をして古谷を見る。
「行かないの?」
この流れで、真実の所へ走って行くと思ったのだろう。
実際古谷もそうするつもりだった。
だが、幸日のことが足を止めた。