ポケットの恋
始めは、勘違いだと自分を丸め込んだ。
最近はやたら神経が過敏になっていて、いつも後をつけられているような気がしてしょうがなかった。
実際に振り向いてみたこともあるが、そうしてみて今までほんとにつけられていたことは無かった。
だからその事実で自分を納得させていたのだ。
今回も、絶対気のせいだと。
なんとなく感じた足音は、やっぱりなんとなくに違いない。
大丈夫、と後ろを振り返ってみて思わず笑ってしまった。
やっぱり誰もいないじゃない。
振り返ったことで、急に視線も足音もなくなったようにも感じられた。
ホッとしたまま元通りに前を向いて、そして次の瞬間には口をふさがれていた。