夜  話  
「それでもふたりは、その恋を不幸だとは感じていなかったと思うぞ」


二度と逢う事がかなわなくても。


想いを遂げることが出来なくても。


不幸ではなかったとわたしに告げていった月の使いの、わたしへの優しい心遣いが。


なによりも温かくわたしの心に響くのだという事を、彼は知っているのでしょうか。


じわりとまた、目尻ににじむ涙を皎の所為にして。


わたしは月を見上げ、その世界に。


想いをはせるのでした。



     月見月 了
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