夜  話  
「俺は………気付かなかった。」


懺悔の言葉のように、にじんだ血の色が見えそうな程に悲痛な声を、絞りだすようにカリョウは言った。


「世界に分身をばらまいて、祈りを求めてチカラを貯え、リョウキの気配をあれ程までに探していたのにっっ!」


そう叫ぶカリョウに、誰もが掛ける言葉を持たない中。


カリョウの前に置かれた小さな水晶玉の中から、凛とした声が響いた。


「カリョウは、何も悪くなんてないんだ。」


涼やかな声で、涼姫はそう告げた。


「私が、私の存在をカリョウから隠していて欲しいと、大神様にお願いしていたのだから。」
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