夜  話  
その日から。


俺は約束通り、エンの部屋を訪れるようになっていた。


エンはいつも笑顔で俺を迎えてくれて、俺の話に瞳を輝かせながら一生懸命に聞いてくれた。


うまく話す事、どころか他人と話す事自体があまり好きじゃなく、得意でもなかった俺だったが、エンが聞き上手だったんだろう。


いつのまにか話が長く続いて、気が付いたら月の道が閉じようとしていたなんて事は、ざらにあった。


そして俺も、エンについて少しずつ知っていくことになった。
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