夜  話  
「俺が月の使いとして目覚め、初めて母親のもとを訪れた時。

あの人は月を見上げて、静かに涙を流しながら哭いていた。

俺の代わりのように、その胸に童姿の紙人形を抱いて。

月の光を受けて開く花のように。

あの人は美しい人だった。」


一言ずつを絞り出すかのように、苦しげに皎は話します。


「あの人は、神託をよく聴く優秀な巫女だった。
だから、俺を身籠ったときにも神降ろしの神事を外れることを許されずに、前例にないにも関わらず巫女のままでいる事を許されたのだと。」
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