夜  話  
奴の女神さまは、場末の店で売り出し始めたばかりの歌姫だった。


名声も、富も、欲しくて、欲しくて、たまらないと、全身で訴えているような女だった。


そんな女が、自分に惚れたランに、素直に月の光を還してやるはずなど、なかったんだ。


案の定、奴の女神さまは、ランから月の光を巻き上げて、そして。



もっと。



そう、ねだったんだ。
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