シルバーブラッド 眠らぬ夜に
それが、十年も行方をくらませた挙句に、殺意に変わっていようとは。 

浩之はアパートから離れた駐車場で自分の車に逃げ込んだ。
 
靴に足を突っ込み、エンジンをかける。

どこに逃げよう。
 
逃げ込める場所なんてなかった。
 
実家には行きたくない。
 
英樹のやっていることを、両親はうすうす感づいていたのだ。

それなのに、何の助け舟もだしてくれなかった。

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