シルバーブラッド 眠らぬ夜に
それでも牧野は彼なりに悩みがあったようだ。

前職も営業だったらしいが、成績がふるわず、ノルマが達成できなくて、会社を辞めてしまったらしい。

今の会社は、新規開拓の義務はなく、担当の会社の注文をこなして行くだけでいいからやっていて楽しい。

と、牧野は言っていた。

これだけ喋れても、それだけじゃあ、新規開拓をしないといけない業種では、通用しなかったらしい。

お得意さんの中で機嫌よく泳ぎまわる。

そういうのが天職だったらしい。

この会社に来たときは、自信を喪失していて、生気がなかった牧野は、しばらくすると、水を得た魚のように元気にとび跳ねだした。

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