シルバーブラッド 眠らぬ夜に
浩之も、この会社が好きだった。

牧野と同じ理由で、顔見知りのお得意さんとどんどん仲良くなっていくのが楽しかった。
 
大学の先生なんかでは、浩之を可愛がってくれて、行くたびになぜか飴をくれる先生もいる。

そういうのが、とても嬉しかった。
 
牧野のことも、実は好きだ。
 
でも、こういうのところに引っ張り出すのだけは勘弁して欲しいだけ。
 
グラスの紅茶を流し込みながら、テーブルをかすめて行った黒い影に目が留まった。

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