【短】3人の強引彼氏


教室に着いて、ドアを開ける。

それと同時に集まる視線。
それがうざいんだってば…。

「お前はー…えっと、綾瀬だな?遅いぞ。早く席につけ。」

新しい担任が、窓際の一番前を指差した。

女子が左側、男子が右側と言う風に
あいうえお順に並べられた机。

席が一番前になるのは毎度のこと。

アタシは黙って席に着くと、
隣の男が話しかけてきた。

「俺、青木 汰壱。よろしくな!名前なんて言うの?」

苦手タイプ………。
無視しても効かないタイプ。
アタシは冷たく
「綾瀬。」
とだけ答えると

「あー違う違う。下の名前!」

なんで教えなきゃいけないの?
仲良くなるわけでもないのに。

「さくら。」


この時、名前を教えておいて
本当に良かったのかな?

あんたに名前を教えなければ
あんなに涙を流すことはなかったし
笑うこともなかったのに………

一度優しさを知ってしまったアタシに
"欲"を教えたのは
汰壱だよ?



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