初☆彼~ハツカレ~
「いらねぇヤツだったんだよ。」

そう言ってあたしのほうを見る。


「ちっせぇ頃から親父は暴力的でさ。俺をかばうためにお袋はケガばっかりしてった。それでも・・・5才までは育ててくれた。だけど、それからは親父が他に女作って俺らを捨ててった。そしたら急にお袋が冷たくなってよ。精神的に狂ったんだろーな。そしたら「お前なんかいらない」って言われて、口もきいてくれなくなった。」


橋田は淡々と話しているけど、きっと悲しくて仕方ないんだろうな・・・。
あたしだったら、耐えられない。
両親に、そんなことされたら・・・・。


「そんなお袋が親父との親権争いの時だけ、すっげー喋ってんの。それで結局、親権はお袋になって。そのストレスかなんだかしんねーけどさ。自殺したんだ。で、俺は一人ぼっち。親父もどこにいるのか分かんないし。だから親戚のとこで中3まで育ててもらった。そこの人がいい人で、金持ちでさ。この家だって、貸してくれてんだぜ?高校生で一戸建てって、すげーよな。」


橋田はそう言って笑った。
ホントは泣きたいくせに。
きっと無理して笑ってくれてるんでしょう?




「おい!どしたんだよ!?」

「~~~ッ。だってぇ~~~・・・・」


あたしの目から涙がこぼれていた。
橋田は慌ててティッシュを持ってきてくれた。


「なんでお前が泣くんだよ?意味わかんねー・・・」

「橋田が・・ヒッ・ずっと苦しんでたのに・・・あたし・・・ヒック・・知らなくて・・・・」

「知らなくて良かったんだよ。」


橋田が他人を嫌うのは、こんな経験があったからなのかもしれない。
だけど、あたしが少しでも橋田の力になれたら・・・。


「橋田。」

「何?」

「駿って呼んでいい?」

「別に・・・」

駿は少し目線をそらした。
チャンス!!



あたしは駿の頬に軽くキスをした。
駿は頬を手で押さえて、顔を真っ赤にしている。


「駿、好き!あたしが駿を愛してる!」


そう言うと駿はクスッと笑った。





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