My Dear Bicycle Racer!!
「よく分かったね・・。相変わらずあんたの視力は凄いわ・・」
正直な話、新井の視力はおぞましいほどに良い。あんだけ、漫画類を読んでるにもかかわらずだ。視力検査でも必ず2.0をキープしている。私はお世辞にも良いとは言えないが、メガネはかけていない。クラスの友人たちはメガネかけていると可愛いよと言われるが、私には似合っていない気がしてならないのだ。
「ふふ~あたしの視力をなめちゃいけませんぜ!!でさ、何かあったん?言ってみ。相談のるで」
新井は興味津々な顔をして私を見ている。
「つ・・・」
私は拓真の事を言おうとしたが、さっきの言葉が頭の中に焼き付いて言い出せない。
「つ?つ・・ってまさか!?つわり!?そっか、それで激しくて泣いてたわけか!」
「違うって・・・。変なボケかまさないでよ・・。なんで、親指たててるの・・」
「冗談、冗談だって。月やんこと月原拓真のことでしょ」
「・・うん。その、ね。ふ、振られたの」
「マジで?振られたの?ん~いつかはやるとは思ってたけどね~~」
いつかはやる・・?新井の言葉に私はある一つの疑問が浮かんだ。
「どういうこと?いつかはやるって・・?」
「月やんはね、女癖が悪いことで有名なんよ。今まで出会った女は数知れず。
付き合った女も数知れずで最短で15分。最高で半年なのさ」
「15分?半年?何それ」
「今まで付き合った時間。15分はあたしの知り合いで。ナンパ状態で付き合い始めてエッチしてそれでポイ。半年は明日香っちだよ。あんた凄いよね・・。あんなのと半年も付き合ってたなんて。」
「はぁ!?ちょっと!それ、マジで言ってるの?」
「うん。大マジだよ。あたしの友人は警察に言おうかというくらいまでいったからね~」
「さいってーー!!明日会ったら、絶対ビンタ喰らわせてやる!!女を何だと思ってるのよ!!」
「おお~明日香っちが萌え!いや、燃えている!そんな、燃えている貴方に朗報です!」
「朗報?何?」
「あんたの家の近くに碓井峠(うすいとうげ)あるでしょ。そこに夕方から夜にかけて自転車に乗った人がいるんだって。なんか、ものすげー格好いいらしいよ」
「自転車って・・どうせ、ママチャリかなんかでしょ。そんなの珍しくないし」
「あれ、ママチャリなのかな?ママチャリにしては変わってたけど」

< 2 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop