Salvation 〜救い〜
オフィスへ戻る前に

横井俊一の家を

たずねようと

さっきもらったばっかりの

住所のメモを見ながら

しばらく歩いた



新宿の

賑やかな通りを抜けて

すこし奥まった

閑静な場所



高そうな建物・・・



それがわたしの

横井俊一の住む

マンションを

初めて見た

正直な感想だった



吉沢俊樹の住む

へんぴな場所の

安アパートとは

雲泥の差があった



わたしは

大きく一度

深呼吸して

オートロックの

ロビーから

横井俊一の

部屋の番号の

チャイムを

押した



午後3時に

働き盛りの男が

部屋にいるはずは

ないかもしれないと

思ったが

予想に反して

すぐに

インターホンに

返事があった



『誰だ?』

こちらを

怪しむような

疑心に満ちた

声だった
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