Salvation 〜救い〜
『な、なんか・・・変なんだよ、俺・・・』



わかったから

なにがどう変なんだよ?

ちゃんと説明してみろ



『うん・・・。こないだ・・・い、いきなり・・・女が来たんだ・・・』



女?

俺も知ってる女か?

あの・・・キャバクラのなんとかいう女のことか?



『ち、ちがう・・・。そ、それは・・・ミカ・・・。そうじゃなくって・・・』



なくって、誰なんだ?



『ほ、保護司・・・の・・・だ、代理・・・とか言っ・・言ってた・・・』



保護司?

(もしかして さっきの女のことか・・・)



『うん・・・。これから・・・と、時々・・・来るって・・・』



(あの女・・・青山って言ったっけか・・・ まあ 俺んとこ来る前にトシんとこ行ってても おかしくはねえな)



で その女がどうしたんだ?



『な、なんかね・・・ お、俺・・・ ず、ず、ずっと・・・ その女のこと 考えて・・・ で、で・・・ 胸が、な、なんか締めつけられてる・・・み、みたいに・・・ な、なってしまって・・・ なおらないんだ・・・』



(トシの野郎・・・ あの女に惚れちまったってことかよ・・・)

(こりゃ ちと 面倒だな・・・ すぐに害があるわけじゃねえけど・・・)




『ね、ねぇ・・・ シ、シュンちゃん・・・ き、聞いてる?』



あぁ ちゃんと聞いてるよ

トシ お前の言うこたぁ わかった

たぶん そんな気持ちは おめぇは

初めてで

なんか不安なんだろうけど

たいしたこっちゃねぇ

とにかく

明日の夜にでも

ちょっと

飯でも食おうや

また電話すっから

なんにしても

考えこむんじゃねえぞ




横井俊一はそう言って

電話を切り

しばらく

考え込んだ
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