倉庫の王様
旅行中はひたすら甘かった。



先生の腕の中にずっといた気がする。



帰って来ても甘い甘い時間を思い出してなんだか上の空。



「もうお腹いっぱい…」

「楽しめた?」

「うん。先生の腰のタトゥーが消えてたことが嬉しかった」

「まさかそれってチユ?」

「あっ、そんな名前だった」

「アイツは厄介な女だったなぁ~。不安を煽りたいわけじゃないけど…もうちゃんと切れてるよね?」



しつこい系の女の人だったのかな…。



先生は浮気なんかしてないよね?



『たぶん大丈夫』って答えたけど…。



ちょっと気になった。



「父遅いね」

「ん~、最近仕事が立て込んでるから」

「大変なのかな?」

「あれでも尊敬されてんだよ、部下に」



アユミさんとふたりの時間が多くなったのは、父が生まれてくる子のためにすごく頑張ってるから。



やっぱり父は父だよね。



頑張り屋さん。



「寂しい?」

「あたしも物件探しに忙しいも~ん」



強がり~!!



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