なんでも屋 神…第一幕
俺は兄ぃとその若衆の姿を交互に確かめる。



…人間は極限の緊張状態に陥ると、その記憶を無くしてしまう。



その若衆を思い出すヒントは、意外な所からやってきた。



…兄ぃの後ろに掛かっている掛け軸。



山と…川。



思い出した…此奴は夜逃げの途中に事故ってきたバンの運転手。



俺にトカレフを向けていたチビ。



「気付いたか。この辰徳はお前が夜逃げの最中にぶつかった男…[神堂組]の若衆、俺の子飼いの一人だ。」



その兄ぃの言葉に、自己紹介が終わったようにゆっくりと頭を下げる辰徳。
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