なんでも屋 神…第一幕

「あの凸凹コンビだ…なんか俺達と似てるよな。」



ノリの鋭い視線を受け流しつつ、エレベーター脇にある階段を上る。



一階に上った所で、ノリが懐からトカレフを二丁取り出して、俺に片方を手渡してくれた。



「やっぱりコレか…コレ苦手なんだよな。」



日本でよく聞くようになった、銃の名前トカレフ…九十年代から、警察に押収される銃器類の中で堂々のナンバー１。



その理由は、手頃な値段で手に入れる事が出来るのが一番大きいだろう。それともう一つ、大量に仕入れる事が出来るから。



元々はロシアから中国に流れて、中国警察や軍の正式拳銃として採用された。それがチャイニーズマフィアを介し、日本に密輸されてくる。



中古品や改造銃等もあるが、中国警察が使用している物は、グリップの所に彫られた星が赤く染まっている…通称赤星。



日本には中々入っては来ないが、黒星と威力や精度は特に変わりは無い。



至近距離からなら、分厚い電話帳二冊を打ち抜く事が出来、その破壊力殺傷力から俺は苦手だ。