なんでも屋 神…第一幕
Jが一葉を追いかけたのを確かめて、事務所の方にノリと二人歩き出した。



背後からヒロの尖った視線を感じながら歩を進めていると、ノリが下から見上げるようにのぞき込んでくる。



「何があったか知らねーけど…一葉の事ほっといて良いのか?」



「そんな事より、俺が言った物はちゃんと持ってきたのか?」



復讐を優先させた訳じゃない。一葉を遠ざけたのは一葉の為…これは俺の勝手な言い訳だな。そう思いながら苦笑い。



「羽尾の方は兄貴分の人に頼んできた。お前から言われた物は、分からないようにして持ってきたさ。」



普段より2センチ程、ノリの懐が膨らんで見える。どうやら、ホルスターに仕舞って持ってきたようだ。



花屋の前にそれとなく立ち止まり、ガラス戸の反射を利用して背後を確認する。



「…あれか?」



髪型を直すふりをしながら、ノリが中国人二人を見定めた。
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