なんでも屋 神…第一幕
自殺と事件の両方から調べられた真美の遺体は、司法解剖を経て家に帰された。



司法解剖の結果や傷痕を見れば、大凡の事は想像がつくだろう。



お袋が聞きたいのは、何故真美がそんな事に巻き込まれたのか…俺がどう関わっていたのかと言う事…。



俺は、初めて見たお袋の涙に負けて全てを話した。



「…俺が[住谷組]からの話しを受けていれば、俺が油断せずに花田の動向を気にしていれば、真美はあんな事にならなかった…謝って済む問題じゃないし、取り返しはもうつかないけど、ごめんなお袋…。」



初めてじゃないだろうか…お袋に頭を下げた。


「やっと全部話したか馬鹿息子が。アタシの嘘泣きもまだまだ捨てたもんじゃないね。大方の予想はそんなもんだろうと思ってたさ…。安心しな、[住谷組]の話しを受けてたら、あたしがアンタを殺してたよ。ほら…ガキはさっさと寝な。」



不思議と騙された事には腹を立たず、俺は踵を返して部屋に戻ろうとした。



「神、ガキが一人で全部の罪を背負い込んだ気になってんじゃないよ!」


返事はせずに部屋に戻ったが、ドアは閉めずに真美の部屋からお袋の噎び泣く声を聞いていた…。


これも俺に下された贖罪なのだ…窓に腰掛け、欠けた月を眺めながら、お袋と呼応するように声を殺して涙を流した…。
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