WILD ONE ~キミに夢中~
それは連休の初日で高藤が入院して四日目の昼下がりだった。

「誕生日の日に言おうと思ってたんだけど、タキ、お前身長測っとけ」

とトモ婆ちゃんは爆弾発言をする。

この私に身長を測れと?

「な、んで?」

伸びてたら怖いじゃん!!170超えてたらどうすんの!!

でも婆ちゃんは

「そこの柱の前で、頭の上にティッシュペーパーの箱を乗せて立てば測れるから」

とまるで聞いていない。

「はよ、はよしぃな!ほれ!!」

さすがマユミさんの実母。こんなトコばっか似てる。

そんなちょっとドスの利いた声にせかされて、渡されたピンクのティッシュケースを頭の上に乗せ、居間の柱の前に立った。


そして言われるがままにティッシュケースを柱に押し付けて頭をそっと抜き、渡された黒のペンでティッシュケースの下をなぞる。

「“タキ17歳”って書いとけよ」

ええい!もうままよ!!

私は“タキ17”と書くと黒ペンをちゃぶ台に向かってポンと投げた。

婆ちゃんは満足げに『よしよし』と言うと老人会に出かけていった。
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