WILD ONE ~キミに夢中~
「へ~。んで結局何センチだったわけ?」

と遠慮もクソもない質問を浴びせるのは、庭からフラッと現れたアッキーだ。

「恐くて測れるわけねーだろうがッ。また伸びてたらどーすんだよ!!」

ハッキリ数字で知ったら再起不能かもしんないじゃん!!

乙女心の分からないヤツめ!

お婆ちゃんの居なくなった家で毛布を引っ張り出し、縁側で昼寝をむさぼる私の鼻をつまみ、窒息死寸前で起こすという神業を披露してくれたアッキーはなぜかすぐに柱の線に気がついた。

「ばあちゃん、喜んでたろ?」

「なんで?」

「…………」

縁側に座ったアッキーが指差すのはその柱の下の方。

なんだ?

古ぼけた柱の下の方。約1メートル位の高さのトコにうっすらと付いている線。

そして横に“タキ5歳”。

それから……その線の五センチ程下にまた線があって“アキラ5歳”。

気が付かなかった。

まるで今まで気が付かなかった。

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