卒業
━━━━━━━何で?
どんな思考回路を持ってすれば、そんな解に辿り着くの?
━━━━━━……私には理解できません…。
「無いですって。そんなの。」
声のトーンはあくまで明るく。
そう、冗談を受け流しただけ。
でも、きっと私の顔、
すごいこわばってるんだろうな、って我ながら思う。
無理に抑えようとしなかったのは…
そうとられるのが嫌、ってことに気付いて欲しかったから。
先生は、ははっと笑いながら、そうかそうか、と言った。
「…そういえば」
自分勝手さゆえに生じた、先生に対する…
ほんの苛立ち。
それに任せると、
さっきまであんなに
出なかった言葉が、
さらりと出た。
「先生、今年で異動だって噂が流れてるんですけど、それって本当なんですか?」
先生の目を、
強すぎるくらいに
真っ直ぐ見て言った。
しかし、
言葉を言い終えた瞬間、
急に怖くなった。
もしこれで、
頷かれてしまったら。
まだ内密にしておいて欲しいと頼まれたら。
限られた時間、
二人だけの秘密ごとを
抱えて過ごすだなんて、
……愛しいけれど…
……………寂し過ぎる。
「……何で…?」