卒業
そして、今日も職員室でプリントについて検討している私たち。

…先生は、私がどんなに焦っているか、どれだけ不安なのか、知らない。



少し会話が無くなる度に、何度も尋ねようと試みるけれど、胸が異常に速まり、喉が詰まってしまう…。

…職員室に来る前は、何気無く聞こうと決めていたのに……。

"そういえば、先生が今年で異動だって噂流れてるんですけど、本当なんですか?"



何度も何度も、
台詞を確認してみる。

……でも、その先に繋がらない。



「…松居、どうした?」

私は引き戻される。

「えっ?」



先生はいつだって、人の目を真っ直ぐ見て話す。



…先生の悪い癖。



「…いや、珍しく上の空って感じだったから。」

「え!?そんなことないですよ…!」

先生の目を見れない。

…これは、私の悪い癖。



「あ、さては…」





「この前の卒業式で、好きな先輩が卒業しちゃったとか?」
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