卒業

「僕ってさ、まさか…生徒たちから嫌われてるのか…？」



プッ。

おかしくて、思わず吹き出してしまった。

「えっ？な、何で!?」

先生のうろたえる姿が追い討ちをかける。



その姿も、その表情も。



仕草も

声も

発想も



ああ、
何て可愛いんだろう…。



ひとしきり笑った私は、はぁ、と溜め息をついた。

「…大丈夫ですよ？」

「…松居、気遣わないで、本当のこと言っていいんだぞ？先生だって大人なんだから大丈夫だ。」

私の目から見た先生は、どこかひどく頼りない気がするけれど…。

「本当ですって。むしろ、人気ある方ですから。」

私は笑顔で言った。

先生は何故か不服そうだ。

…でももし、
嫌われまくってます、
なんて言ったら、
すっごく落ち込むんだろうなぁ…。

まるでその姿が
目に浮かぶようだ。

……面白いなぁ。


「え、じゃあ何で、そんな噂流れたんだ？」

先生は、眉を潜めて私に尋ねる。

…私が男だったら、あるいは先生が女だったら…

是非とも友達になりたかった。





「……多分、」