卒業
「どれどれ?」

消しゴムも使わず、一気に解いてしまった。
頭で組み立てるより先に、紙面に綴られた数式。

回答欄に存在するのは、小数点でも分数でもない、綺麗な整数。


先生は回答欄から私の顔に視線を動かした。

「やっぱ流石だな、松井。」

私はニッと笑ってみせた。

再度先生はプリントに目をやり、解き方の過程を見てうんうんと頷く。


下を向いた時に陰る睫毛。
そんなに長い訳じゃないけど。


鼻筋。
特別すっと通ってる訳じゃない、普通の形だけど。


ふわふわのくせっ毛が揺れる。
いつか触れてみたい。



叶わないって知ってはいるけど分かれない。



その内飽きるよ、と私の論理脳が呟く。
もうちょっとロマンチックな思考が出来れば可愛げもあったろうに。
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