真冬の恋人
◇雪降る記憶






空から落ちてくる、白く冷たい結晶。


「わぁー。ゆきだぁ。ゆきだよ、おかあさん」


小さな少女は、空からしんしんと降っては積もる雪を


瞳を輝かせながら眺めていた。


「つめたい」


小さな小さな手で、真っ白な雪を掻き集める少女。


「ほら、真帆子」


真帆子と呼ばれた女の子は、


母親から赤い手袋を受け取り、その小さな手にはめた──。







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