ブラッティ・エンジェル

エピローグ

 いつもの部屋。いつものベッド。黒天使見習いのウスイは、随分長い夢から覚めた。
「随分と、懐かしい…」
最近、思い出すことすら忘れていた自分の過去を夢で見たウスイは、深い溜息をついた。
 自分のものよりも何十倍もある隣のベッドには、今のパートナーがまだ寝ている。
 そんなに遅い時間だろうかと時計を見ると、もう昼を廻っていた。
 セイメイにしては珍しい。いつも、夜が明ける前に起きているのに。
 無理もないのかも知れない。最愛の人に、ふられてしまったのだから。完璧に。
 しかも、目の前で見せつけられてしまったし。
 ウスイも同じ。失恋。たぶん、きっと。あの目は、2回目だった。仇を見るような、あの憎しみに満ちた目。
 ユキゲが、このウスイがあのウスイだと知っていたら、結果は変わっていたのか?
 いや、それはない。今のユキゲには、サヨがきっと一番なんだ。見ててわかる。女に対して不器用なユキゲが、あんなに熱くなるんだもの。
 ユキゲの幸せが一番?そんなの、辛すぎ。
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