ブラッティ・エンジェル
「あたし。希君が好きだった。今もこれからもずっと、希君が一番で特別で、忘れちゃいけないって、思ってた。希君に好きになってもらうためなら、なんでも出来るぐらい。
 だから、サヨと希君が駆け落ちしたって知ったとき、ショックだった。
 今でも、希君が特別。でも、一番じゃなくなったの。それが、恐かった。希君を忘れるのが。このままじゃ、ダメだって。
 だから、了介と別れたの。
 でも、やっぱり希君以上に了介が好きなの。了介が運命の人なんだって、わかってるのに。認めるのが恐い」
「ゆず」
了介君が、ギュッとゆずを抱きしめる。
 泣きながら抱きしめ返すゆずちゃんは、可愛かった。
「ごめんね。了介。大好きだよ」
「ホント、バカだな」
ほらね、ハッピーエンドでしょ。
 と、サヨは微笑みながら天界に帰って行った。

 次の日、HEARTに行くとマスターが1つの手紙をサヨに差し出した。
 水色の可愛い便せんから、ほんの少しゆずちゃんの香水の匂いがした。
『サヨへ
 了介とは、よりを戻すことにしました。
 あのあと、いろいろ考えたケド、やっぱり希君のことは忘れられません。
 でも、サヨが言ったとおり、過去に縛られないで今を生きようと思います。
 話が変わりますが、サヨのこと、嫌いじゃないから。
 本当は憧れてたの、綺麗でなんでも上手にこなすサヨに憧れて、サヨになりたかった。
 でも、それも間違いなのかも知れない。これからはゆずを見つめ直そうと思います。
 他にいろいろとあるけど、それは会ったときに話します。
 こんど、店の手伝いに行ったときにでも。
 酷いことして、ごめんなさい。
 いろいろと、ありがとう。
 Byゆず』
サヨはニッコリと笑った。
 よかったとサヨは、ニッコリ笑った。

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