ブラッティ・エンジェル
「お前の母親の寿命を、延ばそうとしたんだ!」
「え?」
望が驚いたように息をのむ。
 ユキゲは畳みかけるように言う。
「それは誰もが知ってるタブーだ。それなのに、サヨは!」
「ユキゲ!」
ユキゲの後ろで、サヨが険しい顔で叫んだ。
 本当に、怒っていた。
「んだよ!」
サヨは振り向いたユキゲをよそに、まだ動揺してる望の前に立った。
「今なら、間に合うよ」
「な、にが?」
望を見上げるサヨの目は本気で、真っ直ぐだった。
「お母さん。まだ、死んでないの。今からでも間に合う。」
「それって」
サヨは力強く頷く。
「冗談じゃねぇよ!」
ユキゲは、また叫ぶ。怒りじゃない、心配なのだ。サヨも、わかっているけれど、何かがサヨを突き動かす。
 望か?それとも、心?
「どうするの?」
「それは…」
望は、ぐったり目を閉じている母を見た。
 そして、下唇を噛みうつむく。
 そのとき、サヨは延ばしてくれと言うと確信した。
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