G i f t ~ギフト~
煙だけが静かに空へ昇っていく。


兄貴を起こすかのように・・・


彼と2人で静かに手を合わせて報告した。


『そうそう!樹の煙草。持ってきたんだ!』


彼に兄貴の煙草を2本渡し火を点けてもらった。


再び持ってきた缶ビール2本のタブも開けて、墓前に並べた。


『煙草もさぁ・・・此間2本しかあげてないのに、帰りには4本減ってたんだよね・・・』


彼は自分の煙草に火を点けながら目を丸くした。


「マジ?ありえなくない??」


『・・・箱の中身数えてみる?今日の帰りも2本減ってるかもよ?』


彼は肩を少し震わせて「やめろよ。怖いじゃん」だって!


此間4本減ってて、今2本あげたから・・・6本減ってるわけで。


今樹の煙草は箱に14本入ってる。


さて・・・帰りには12本になってるのかな?


私は兄貴の墓の前にしゃがんでもう1度報告した。


(樹・・・春人にプロポーズされちゃったよ。うちらは先に進むよ。樹の分まで進むよ!また愚痴聞いてくれよ。そうならないのが1番いいけどな!)


彼を見上げると兄貴の墓から昇って行く線香の煙をじっと見つめてた。


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