G i f t ~ギフト~
『続きはまた今度』と言って早々と会計を済ませ店を出る。


「終わったら連絡するから」と彼は言うけど期待しない。


待ち合わせ場所に向かう時とは全然違う気持ちで彼とのデートは終わった。


【甘いデート】は【苦いデート】に変わった。


(たったの小1時間でデートって言える?)


駅近くに止めた自分の車を探し、冷えた体を摩りながら乗り込み、溜め息混じりに家路へ向かう。


部屋に入れば無残に散らばった私の靴達が『オカエリ』と睨んで言ってる様だった。


一足一足並べ、元の位置へ戻す。


履きなれたブーツを脱ぎ、着ていた服も着替える。


洗面台へ向かい折角した化粧も念入りに落とす。


普段の自分に戻る私。


『どれ・・・愚痴りに行くか』


着慣れた男らしい格好にスッピンのまま深くニット帽をかぶり私は部屋を出る。


久し振りに彼と休みが合った休日はゆっくりと幕を閉じる・・・。




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