G i f t ~ギフト~
【樹の謝罪】


今から11年前。まだ『兄貴』が元気だった頃・・・。


『何だ?いきなり話って?』


私は『兄貴』に呼び出され指定された居酒屋に出向いた。


「実はなぁ・・・お前に謝らんといけない事があってなぁ」


『樹がうちにか?覚えないけど・・・何や?』


数ヶ月前に彼を連れて飲みに行った『兄貴』


『兄貴』が想いを寄せてた彼女の友人に頼まれて彼を誘い飲みに来た。


そして彼女と【結城 吹雪】が飲み屋に来た。


ほろ酔いで『兄貴』は自分の意中の彼女と先に帰った。


彼と【結城 吹雪】を置いて・・・。


その後彼と【結城 吹雪】の関係は分からない。


でも・・・私は『兄貴』に呼び出された2~3週間前に【結城 吹雪】の悪魔の囁きを聞いたばっかりですべての辻褄が合った。


『ほぉ~~。やってもうたな。樹は悪魔じゃ。けどなぁ・・・うちは樹を怒れない。受け入れたのは春人だもん』


「イヤ・・・俺を責めろって!気が済むまで殴ってもいい」


『その代わり・・・誓えよ。うちがすべてを知ってる事春人に言わないって。うちが嫌がらせされてるのも春人に言わないって』


私は無かった事にした。


彼が『愛してる』のは私だと思い込みたくて・・・。


『兄貴』も責任を感じたのか彼には話さなかった。


未だに彼は知らないと思う。


【結城 吹雪】自身も自分の株を下げる事は言わないだろう。


『兄貴』が居ない今、私が話さない限り知る事が無い彼。


それも・・・幸せの為かもしれない。


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