G i f t ~ギフト~
「止まらなくなるから今はこれで手をうっておくね」


爽やかに笑う彼が可愛くて私の頬も緩む。


『コーヒー飲む?』


「あぁ」と返事する彼を背に私は服を身に着けキッチンへ立つ。


ジャーッ・・・カンッ・・・。


彼のマグカップと自分のマグカップにコーヒーを注ぐ瞬間が好き。


同じ時間。同じ場所。2人の空間。


両手にカップを持ちリビングのソファに腰を下ろす。


「今日はどうする?出かける?」


カップに口を付け彼は私に問いかける。


『ん-----』


私はカップの湯気を吹き払いながら言葉を止めて一口含む。


(出かけるねぇ・・・。行く所無いんだよなぁ・・・)


私の頭の中で周辺の地図が開く。


「たまには・・・待ち合わせしようか?」


『え・・・・・・?』


カップに口を付けたまま止まる私。


(待ち合わせ?)


ゆっくりカップをテーブルに置き『どうして?』と質問してみる。


「新鮮でいいでしょ?うんとお洒落して来いよ」


笑顔で返答する彼。


『まぁいいけどさ~』


お昼に駅前待ち合わせで話は終わる。


注いだコーヒーを飲み干して私は彼の部屋を出る。



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