-roop-

「海…結構遠いの?」


曲がり角の向こうを身を乗り出して確認しながら、誠さんが答える。


「ん~車だと一時間ちょいかな~。隣町の星見ヶ浜っていうとこ。」


「星見ヶ浜…?」


「そ!綺麗な名前のところだろー?」


軽々とハンドルを回す手に、心臓が反応する。


「星…そんなに綺麗に見えるの?」


「う~ん、どうだろうな~。俺たちが行くときはいつも曇……あ、いや…っ」


正面を見たまま気まずそうな表情を浮かべる誠さん。


いつもならギュウッて胸が締め付けられるはずなのに、何故か不思議と心は穏やかだった。






--私は大丈夫だよ…--





まるでそう言うように小さく零す。


「じゃあ……今日はたくさん星が見えるといいね」


動揺することなく静かにそう言った私を、誠さんは少し驚いたようにしてチラッと見た。



「…あぁ……そうだな…」


誠さんも穏やかにそう零した。

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