-roop-

ふと自分の左手に視線を向ける。

何もない左手。


ごめんね千夏さん…罰が当たってしまったみたい…。

この指に、誠さんはあの指輪を通してはくれないかもしれない…。

貴方の願いは…約束は…叶わないかもしれない。



これはただの手段だ。

自分を救うだけの手段だ。

そう割り切っていれば、誠さんだって千夏さんだって…傷付かずに済んだかもしれないのに。


ねぇ千夏さん

貴方はもう知っているんでしょう?


叶わない

叶ってはいけない

叶うはずのない恋を


貴方を裏切る恋を私がしてしまったことを…。
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