-roop-
私にもいたのだろうか
愛する誰かがいたのだろうか
愛してくれる誰かがいたのだろうか
私が死んだとき泣いてくれる人はいたのだろうか…
……いるわけない…か
自分が記憶を奪われるほどの罪人であることを思い出して、そんな甘い考えに嫌気がさした。
握りしめた拳の大きさでは、自分のはっきりとした年齢さえ分からない。
でもそれでも、
自分のことが分からなくても、自分のことを必要としてくれている人がいたのかくらいは…
覚えていたかった……
「…ちょっと………羨ましい」
私がそう呟くと、彼女は少し申し訳なさそうな顔をして、
そして、照れるように微笑んだ 。