空色幻想曲
     ◇ ◇ ◇

 森の小道で一人立ち尽くし溜息を零した。
 まさかこんな形で負けるとは。スケベ心が(あだ)になってしまった。

 ……でも、悔いはない。

 右手をついつい見つめてしまう。

 やはり結構大きかった。叙任式のドレス姿でも密かに思ったが、見るより実際に触ったほうがよくわかる。多分C……いや、Dカップくらいあったか。

 なんで童顔なのに胸はあるんだ。反則じゃないか。

(だが、それがいい)

 あのような役得があるならば、少々ジャジャ馬でもいいかもしれない。

(な、何を考えている、俺は……)

 同じことが二度も三度もあったら『不可抗力』なんて言い訳は通用しない。せっかく就任した騎士を首になってしまう。

(いや、下手すると死刑になるかもな)

 動揺を隠すためについあんな態度を取ってしまったが、まずかっただろうか。そもそも俺は動揺があまり顔に出ないのだが。

 制裁は素直に喰らったし、修行の“約束”があるから、すぐ騎士を辞めさせられるようなことにはならないと思う。多分。

(ラッキーなのか、アンラッキーなのか……)

 でもやはり得をした気分なのでラッキーということにしておこう、うん。
 人生前向きが一番だ。

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