空色幻想曲

†貴族の心†

Tirnis side
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「まあ、ティアニスおねえさま。どうなさったの?」

 とある七曜日。
 離宮の一つ、シュヴァルツ邸にて。
 エントランスで出迎えた少女の第一声がそれだった。

「あ……やっぱり目立つ?」

 ルビーの瞳に見つめられ、思わず顔をさする。
 顔だけじゃない。服で見えない部分にも小さな傷やアザが数えきれないくらい刻まれていた。

「目立つほどではありませんけれど。なにをなされば、そんなにあちこちつくの?」

「ちょっとね……」

「あら、かくし事が多いですわね、さいきん。やっぱり逢瀬……でしたら、ずいぶん過激なプレイですこと」

「だからどこで覚えたのっ、そんな言葉!?」

 愛らしいくちびるからサラリとこぼれる毒に毎度のごとくおののいた。

 この傷は、もちろん過激なプレイでついたわけでは決してなくて。
……まあ、ある意味、過激なプレイといえなくもないけれど。
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