ガンバレ、男子!


そうこうしているうちに、目的の場所へ着いたようだ。

「優雅!来たよ。」

笠原さんが、教室を覗きながら声を掛けると、芳川さんが出て来た。

「来てくれて、ありがとう!…実は結構暇だったの。」

芳川さんは、そう言うと、恥ずかしそうに笑った。衣裳は、白いブラウスに長めのフレアスカート。きちんとウエストマークして、昔の映画にでも出てきそうな雰囲気だ。髪も、ショートボブをクルクルと巻いて、いつもと雰囲気が違う。

「可愛いね!ホント、オードリー・ヘップバーンにそっくり!」

啓太は、芳川さんの格好を見るなり破顔し、そんなことを言った。

オード…リー?どこかで聞いたような・・・。
誰だっけ?

ヨシを見ても、わかっていない顔をしている。

でも、それを聞いた芳川さんは、見て分かるくらい真っ赤になり、俯いてしまった。

「…ありがと…」

チラリと上目遣いで啓太を見て、また俯く。

気が強いイメージがあったけど、なんだか可愛い反応だ。そこへ笠原さんが、

「さすが啓太くん!よく知ってたね?こちらは、英語部『ローマの休日』コーナーです!」

と言って、俺たちを教室内へ導いた。

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