ガンバレ、男子!
それから、俺たちは、ベンチに座っていろんな話をした。

剣道を小さい頃から続けていること。

怪我が多いから、自然とテーピングも出来るようになったこと。

うまくやれるように、勉強もしたこと。

テーピングが出来ると、部内で重宝され、いつもやらされていること。

「だから、上手なんだね。全然痛くなかったから、びっくりした!」

ちひろは、こんな具合に俺の話を盛り上げ、一生懸命聞いてくれた。聞き上手なんだと思う。

もともと俺は、自分から、そう話す方ではない。でも、ちひろと話していると、自然と言葉が口に出た。ちひろより俺の方が話していたかもしれない。

それに、不思議なことに、女の子と話しているんだという気がしなかった。いや、もちろん、女の子だし、好きな・・・子、だし、ドキドキはするんだけど・・・。

自分では、もっと、好きな子に対しては特に、何も話せなくなっちゃうかと思っていた。少なくとも、俺はそういうタイプだった。

でも、ちひろは、違うのだ。

まるで男子と話しているような、サバサバした感じがある。気取ったところがない、というのだろうか。

一緒にいることが、そして、話をしていることが、とても、心地よかった。

あっという間に時間がたった。

気がつくと、もう、8時を回っていた。

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