禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~

見事に砕け散った。


もう、あたしが目障りなくらい、神楽は拒絶してるんだ。


「ごめ…ごめん…。あたしは…神楽にとって何?」


涙で声が震えてる。


拒絶されてるのに。


甘い幻がグルグルと頭の中から離れない。


「…娘だ。」


顔色ひとつ変えずに。


サラッと言った。


「だったら…もう…幻なんて…言わないで…。この髪の長さのように…この髪の重さのように…神楽が愛してくれた現実を…幻になんて…しないでよ…。」


最後の願いを涙で見えない神楽に問いかけた。


「そうか。この髪が…。」


小さく答えてくれた。


コツ

コツ


一歩ずつあたしに近づいてきた。


ゆっくりとあたしの髪を掴んで。


懐かしむような目。



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