禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「奏凛ちゃんは、存在してなきゃいけないんだよ。」


「どうして?」


「これからの人生、きっと、奏凛ちゃんと出会う人は沢山いる。奏凛ちゃんが出会った中で、奏凛ちゃんを待ってる人がいるから。」



ニッコリと笑った。



「あたしを…待ってる?」



意味が分かんない。



「奏凛ちゃんの笑顔で、元気になる人がいるかもしれない、奏凛ちゃんの一言で、何かが変わる人がいるかもしれない。奏凛ちゃんの笑顔を…奏凛ちゃんの一言を待ってる人がいるはずだよ?」



ポンと優しく頭をなでた。



「あたしを…。」



じゃあ、あたしが待ってて欲しい人は?



あたしは、神楽の笑顔が見たいし。



神楽の声が聞きたい。



そんな願いすら…

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