DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
「アリルア村。周りは森に囲まれた小さな村だ。報告では村民の姿は見えず、十数名のディラハン兵が確認されている。
おそらくは村民はすでに殺されたか監禁されているか……外へ出ることが出来ない状況だと思われる」
地図に記された森を囲むように走る道の首都寄りの入り口近くを、トン、と指で叩き
「君にはトラックで彼女らをここまで運んでもらう。彼女らをここで降ろしたあと君は……」
そこから道をなぞるように指を下へ滑らし
「そのままこの地点まで先回りしてもらう。ここから入るとちょうど村の裏手にある小高い丘にでる、君には此処から記録をとってもらう……ルシフェルの目には高度なセンサーがつけてあるが、記録されてるのを知られたくはないのでね」
そう言ってコーエンは、ボタンほどの大きさの……黒い小さな球形をした発信機らしきものを白衣のポケットから取り出し、差し出した。
「これはセンサー感知を妨害する高周波を発生させる装置だ。かならず身につけて、丘へ行ったらスイッチを押して作動させること……いいかね?」
受け取り、黙って頷くボルグだが、内心は穏やかではなかった。