DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>


「そうですか……」

ガーフィールドの言葉を聞き、アレックスの表情が曇る。

国境最西端のリディル峠では、最近ディラハン軍との小競り合いが度々あると聞く。

リディルからカラヤまではそう遠くはない。

「娘さん、心配ですね」

「怪我人がしょっちゅう運び込まれて、手が離せんらしい。医者の魂ってやつかね、見捨てては来れんの一点張りでな」

やれやれといった風にため息をつきながら話すガーフィールドを、アレックスは気の毒げな顔で見て苦笑した。

「まあ、リディル要塞にウリエルが派遣されたらしいから……じき落ち着くだろうがな。
パレードは見たか?」

「いえ、通りすがりに少し見掛けただけで……」

興味ないといった風のアレックスの様子に今度はガーフィールドが苦笑する。

「まあ、お前さんにとっては、今更といったところだろうがな」



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