DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
やがて、カウンターの奥の木製のドアが開き、奥からボサボサの白髪頭の男が顔を出した。
「やあ、アレックス」
青年の顔を見ると、ガーフィールドは挨拶をしながら、ドアの両脇に詰まれた本の山を崩さないよう気をつけながらカウンターの方へと向かう。
「リリス、朝食の準備ができたぞ。先に食べなさい」
ガーフィールドが少女へ一言声をかけると、
リリスと呼ばれた少女は
「はあい」
短く返事をして、水差しを鉢植えの横に置き、軽く会釈して青年の前を通り抜け、ガーフィールドが出てきたドアの向こうへと姿を消した。
「お孫さんですか?」
リリスを見送りながらアレックスが尋ねると、ガーフィールドは少し照れくさそうな笑みを浮かべ
「まあな、西のカラヤの街で娘夫婦が医者をしてるんだがね、最近は西は物騒だからってので、あの子だけこっちで面倒見ることになってな」
そういって頭をぼりぼりと掻いた。